Petržalka

ワーキングホリデービザでスロバキアに滞在中。

ハンガリーで鬼畜ババアの奴隷になる

ところで、旅情報系のブログを書いてる人は本当に尊敬する。このブログもなんだかやたらアクセスが増えるときがあって、なんでかなと考えると、おそらく東ヨーロッパへ旅に出る人たちがネットを使って情報を集めていてそんな折にヒットするんだろう。そういう人には何の役にも立たないブログとなっていて本当に申し訳ない。旅情報系ブロガーさんたちは、そういった需要のあるところに、時間も労力もかけて、情報を発信しているその善意とマメさに頭が上がらないのである。

 

一方私は、旅の情報を発信していく気などはそこまでなく、あくまでも自分のためにつけている日記である。でも旅に出たいとか日本を出たいとか迷ってる人や不安のある人にはそんな気持ちに寄り添えたらいいなと思って書いているのもある。私がいちばん大事だと思っているのはそこでどんな人と出会って何があってどう感じたのか、ってことなので、今後もそれを軸(そんなものは無いが)にやっていこうと思う。

 

さて、ハンガリーはブタペストに到着した。今回は完全に何のあてもなく、目的といえばハンガリーに多数ある古い温泉に入って癒されるということくらいの、ひとり旅だ。ブラチスラヴァからはバスで3時間、9ユーロ程という手軽さ。ブタペストには、『アンダンテホステル』という日本人宿があって、そこを予約した。日本人宿とは、日本人が経営している宿で、宿泊者も日本人、もしくは日本人からの紹介でないと泊まれない。連日、英語でのスロバキア講義に疲れていたため、日本人と話したい!という気持ちが無意識にも募っていたのだろう。

 

建物も大きく、交通機関も発達しているハンガリーに入ると、スロバキアが一気に田舎に感じた。やっとの思いで宿に着くと(外では携帯使えないので、いつも人に尋ねまくるしかない)そこはまるで日本だった。金子さんという年配の男性が管理していて、共有スペースには、我が家のようにくつろぐ日本人が数人いた。違和感すらおぼえる日本語でのチェックインを済ませると、金子さんから耳を疑う提案を聞かされる。

 

金子「知り合いがやってる寿司屋があるんだが、そこで3日間バイトしてくれんか〜?寿司食べ放題やぞ〜」

私「え、自分は無類の寿司好きなんです。やります〜!」

 

というわけで、私はハンガリーで念願の寿司屋のアルバイトをすることになった。どうせ時間はあるし、バイト代もわるくないし、バイトをしてそのお金で延泊して観光しよう、と考えた。

 

しかしこの安易な選択が運の尽きである。寿司屋では3日間、皿洗いのバイトをしたのだが、この店には店主のおじいさん以外に20年以上働くハンガリー人のおばはんがおり、これがくせ者であった。

 

おばはんは、クルエラ・デ・ビルを100キロ級に太らせたような感じで、年の割に化粧が濃く、背も高くドッシリとした体型で、見た目にもインパクトの強い出で立ちだった。そして気分の上がり下がりが激しく、全く要因はわからないが機嫌が悪くなるとバイトに当たり散らす。この人生なかなかきつい人にもたくさん出会ってきたが、ここまで気性の荒い女性には出会ったことがなかった。

 

頑なにハンガリー語しか喋らないので、ただの旅行者の私には全く何を言われているか理解できない。一度だけ、もう一人日本人でハンガリーに留学している女の子(とても真面目そうな)がバイトに来ていて、この人なんて言ってるん?と聞いたが、言いにくそうに「・・・えーっと、お前は脳みそ入ってんのか?ハンガリー語勉強するとこから始めろ。と言っています・・」と申し訳なさそうに言っていた。

 

結局3日間、ハンガリー語の罵倒と、虐待とも言える指導(水かけたり蹴ったりふつうにしてくる)に耐え続けることとなった。

 

しかし、この店の店主(70のじじい)にはなぜか大変気に入られ、このままこの店でずっと働いてくれと頼まれたが、ここまで来て鬼畜ババアの奴隷人生が始まるなどまっぴら御免なのでぴしゃりと断った。

 

そして、約束通り寿司は毎日これでもか、というほど食わしてもらえた。ババアの虐待に見合った対価なのかわからないが、それとは別でバイト代ももらえていることだし、これまたハンガリーで貴重な経験ができたことには間違いない。

 

スロバキアに来てから、楽なバイトしかして来なかったが、お金をもらうということはこういうことだったなあ、と日本で働いていた頃のことを思い出したりもした。しかし、自分の人生は自分で如何様にも変えられることを知った今、過度なストレスを我慢し続ける必要は全くないのだと思うし、お金をもらう方法すら自分で創造できる時代である。

 

3日目の労働が終わり、この日はたしかハンガリー王国建国記念の日かなにかで、ドナウ川の夜景をバックに花火が上がっていた。帰り道、寿司と汗の混じったくさいポロシャツを着たまま見た花火はとても綺麗で、私はひとり遠い日本を思い出して立ち尽くしていた。明日からはこの疲れを癒やすべく、温泉に入ったりしてゆっくりと過ごそう。心身ともに疲労困憊ではあったが、またひとつ面白い経験ができたなあと、全く悔いのない自分に気づき、これは成長なのか老いなのかなんだろうか、とぼんやり考えながら、次々と打ち上がる花火をあとに宿へと戻ることにした。

 

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